例の看板は評判が良いのだが、突然市役所から呼び出しがあった。街路樹に結びつけるのは違法だと投書があったらしい。揚げ足取りを趣味としている人もいるから、仕方がない。設置にあたって、市役所は、「まあいいでしょう」とは言ったのだが、県の条例に違反しているらしい。それなら逆らっても仕方がないので、直ちに撤収し、横の自動車販売店と交渉をはじめた。
店長氏は看板の効果を理解しているので、敷地内に立てても構わないとは言ってくれたが、会社の意向、地権者の意向も聞かねばならないのでひと月ほど待った。構造を説明し、その後の補修、美観の向上には留意するという確認書を交わし、許可を得た。
鉄工所に頼み、耐候性のあるステンレス一体構造で製作してもらった。角度の保持は大切な要件なので、回転しないように、また抜けないように設計した。仕上がりはこのような具合だ。柱の上の端は角パイプの中に子供が指を突っ込んで怪我をすることがないように塞いで丸めてもらった。
以前は針金で巻き付けただけだから、今回のほうがはるかにすっきりした体裁である。揚げ足取りの方には感謝する。
今回、市役所はこの看板を立てるに当たって、屋外広告物の基準を満たしているか、かなり綿密な調査をしたようだ。揚げ足取りの方はこの件に関しては、何をしても無駄だから、やめたほうがよい。他のことを研究されたい。
