元 連合会長日記

2015年春から自治会連合会の会長をしていましたが、7年で辞めました。。

自治会活動は何のためにあるか

 自治会長をしてみてよくわかった。

 最初の年は仕事をこなすだけで大変であったので、そこまで考えなかったが、最近の活動を通じて再認識したことがある。
 
 思えば歳を取ったもので、あれからもう50年近く経つ。アメリカに居たことがある。当時は外国には行きにくい時代であったが、たまたま奨学金を得る試験に通ったので、行かせてもらった。
 現地で世話になったMr.Barnesは銀行家で、地元の名士である。町内会長もしていた。英語で言うと、president of neighborhood association である。かなり熱心にやっているのだが、一体何をしているのだろうかと興味が湧いた。
 
 会合の日に、付いて行って傍聴した。そこで行われていることは、いかにして自分たちの不動産価値を上げるかということに尽きる。街並みを整備し、よそから来た人たちが”良い街だな”と思うようにしたいわけだ。くだらない寄付金集めなどは、無かった。
 
 当時日本には衣類乾燥機などなかったが、アメリカにはほとんどの家でそれを持っていた。庭で洗濯物を干す家があると、それは裏庭の見えないところで干すべきだと、言う。乾燥機を持たない家族がこの町に住んでいるとは思われたくないからだ。長期不在で芝が伸びていると、芝刈り機を持って行って刈り取る。
 壁のペンキが剥がれている家があった。塗り直すように言いに行く。その小さな家にはおばあさんが住んでいたのだが、なかなか塗り替えない。ある日、近所の数人がペンキの缶とハシゴを持って行き、その家を塗り替えてしまった。何人かでやればすぐ終わる。おばあさんは感謝したことは言うまでもない。 
 
 筆者はそれを見てとても驚いたが、やっていることの意味はよく分かった。外観が整備されていない家があると、その周りもそれと同様に見えることを恐れるのだ。また、治安の良さということも、前面に打ち出していた。「この街ではカギを掛けていなくても泥棒に入られません」ということを、事あるたびに宣伝していた。
 
 日本の話に戻そう。人間はいつかは死ぬ。死んだとき、あるいは引っ越す時、自分の財産の住宅が安く買いたたかれるのは癪だ。払っている固定資産税に見合う評価以上で売買されたり、相続されることを望む人が普通だろう。
 
 自治会運営にこのような視点を入れると、我々の活動に大きな意味を見出せるはずだ。